人気ブログランキング | 話題のタグを見る

豊田山岳会60周年特別企画


by toyotaalpine2

大川入山柳沢沢登り/明珍

 一番楽しかった山行は、やはり初めての沢登り、柳沢です!
 沢遊びは大好きでよく行っていたのですが、家族からはとにかく「危ないからやめろ」で、行けそうだと思ってはいても、もし怪我をして迷惑をかけたり、子供を危ない目に遭わせたりしたりするのが嫌で、フラストレーションを溜めながら我慢していた過去の夏。これからは自分のために遊ぶのだ。
 しかし、ここでも簡単には行けなかった。
 沢登りをするには岩に登れること⇒岩に登るには講習会を受けること⇒講習会を受けるに当たって装備を揃えること⇒よ さ ん が た り な い !
等の障壁を一歩一歩乗り越えてようやく二回目の夏連れて行ってもらえることに。
一歩一歩乗り越えている時は、漠然と「危険が伴う遊びだから、やはり随分入念に準備するんだな」等と思っていたのですが、いざ現場に行ってみると全部必要な手順、むしろ最短コースということが分かった.。むしろ現場では「もっと練習しとくべきだった!」と思った。もう、、怖いし下手だし。でも、岩登りの練習の時に言われた言葉、教えていただいた沢を登るコツ等が一つ一つ思い出され「これか!」と思いながら必死でついていった。登り初めは、ただわくわくしっぱなし。
 夏の登山はとにかく暑い。沢遊びはすぐ寒くなる。のだが、沢登りは『快適』の一言。そして岩場を自由に歩ける新しい沢靴が嬉しい!全身濡れてもいい仕様になっているのでリュックを背負ったまま入りたい所はどこでもザブザブ入って行ける。何をしていても誰にも止められることはない。沢の透明度は最高で、木々も岩も美しく、遊びたいし、カメラにも収めたいし、本当に忙しかった。
 途中何カ所か難所があり、リーダーの山本さんと磯部さんがロープを張ってくれた。滝の音で指示が聞き取りにくいがリーダーさん達のジェスチャーを確認しながら進む。で、明らかに滝を指さし、「ここを登れ」と言っている。さっき山本さんがロープも無しに易々と登っている時は、ただ「すごいなー」と思っていただけだった。
大川入山柳沢沢登り/明珍_e0417297_19471476.jpg
が、しかし、(例えハーネスでしっかり確保してもらっているとはいえ)、いざ自分が滝がザーザー流れ落ちている壁を目の前にして登れと言われても「嘘でしょ?」と言うのが素直な感想。でも前に、香織さんが岩登りの時に教えてくれた「道具と自分を信じて」の言葉を思い出し、「登れと言うのなら登れるのだろう、ぐずぐずしても冷えるだけ、とにかくやってみよう」と登ってみる。そしたら意外にも何となく登れたのだ。じわじわ来る登り切ったことへの嬉しさ!『私にも出来た!』
 実体験として山本さんが引き上げてくれるロープのジャストフィット感、隣で的確な指示を出し励ましてくれる磯部さんの安心感。安全を完璧に確保してもらいながら私の限界までチャレンジさせてくれる懐の深さ、こんなに自由に楽しめたのは子供の時以来のことでした。
 集会場で、山本さんが「天然プールがあるよ」と教えてくれていたのだが、5時間ほど登った所に、本当に美しい場所があり、「頑張った人だけがたどり着けるのだ」と感慨深く思いながら贅沢な時間を味わった。水面に浮かび見上げると、快晴の空に梢が重なりこれ以上素敵な時間はそうそうないだろうと思った。
大川入山柳沢沢登り/明珍_e0417297_19530394.jpg
大川入山柳沢沢登り/明珍_e0417297_19525645.jpg
天然プールからはひたすら笹を藪漕ぎ、何で先輩達はあんなに早く登れるんだろう。もうその頃は絞りかすみたいな体力しか残っておらず、ふらふらしながら山頂を目指す。言わなかったけどほんとに「全員バケモノだな」と思っていました。
 子供の時から数えてもこんなに全力で遊んだことはなく、良き妻、母だった時の15年分のフラストレーションはたった一日で解消されたのでした。(念のため付け足しますがフラストレーションが溜まっていたと言うのは、『自分の遊びに関してだけ』ですよ?)


by toyotaalpine2 | 2020-02-06 05:00 | 記念山行